犬妖鬼1葛葉姫鬼譚第二弾です。11月13日から日記で連載中です。誤字脱字は後で直したいと思ってますv 「そこまでよ!!」 長い髪を高いところにしばり、狩衣に朱の袴を夜風になびかせ、血なまぐさい匂いをはなつ異様な妖しを葛葉は睨む。 グルルルっと威嚇するように唸る妖しは犬の様にも見えた。影の様に黒く、襲った人間の血を赤く口元に滴らせ、尻を持ち上げ、助走をつけて飛び葛葉に襲いかかった。 「あぶねえ!」 横から頼光か自分の身長と同じくらいある刀をその口に挟ませ、防ぐ。 「そのまま、押さえておいて!」 葛葉は瞳を閉じ、手にしていた呪府をピンと立て呪をとなえる。 散妖伏邪!急急如律令、畜怪!」 府は光る鳥となって黒い獣を貫いた。 獣はけたたましいく叫び闇にとけ消えた… そこには葛葉が放った呪府のほかにもう一枚血に塗られた呪府が落ちた。 「また偽者なのね……」 今し方命を落とした人に拝む。ぶじ成仏できるように… そして、血に染まった府に触る。 「いったい誰が放ってるかわからないのか?」 刀を鞘にしまいながら、頼光は聞く。 「うん…私じゃまだまだ未熟なのかも知れない。父様か、光栄さまに聞けば分かると思うけど」 今この二人は宮中行事で忙しいのだ。 それに、この事件は貴族達にはどうでもいい事であった。 襲われているのは庶民なのだから、いまだに貴族の一人にでも危害を加えられた者がいない。 だから、宮廷陰陽師たちは動けない。 外法陰陽師も庶民相手に金もうけにならないことで動きたくないという者も多いのか、動いている気配はなかった。 そう言う理由から、うわさを聞き付けた葛葉はこの依頼を受けることにしたのだ。 依頼してきた人は正直上座に堂々と座る子供の葛葉を疑った。 「こんな子供に任せられるものなのか…」 とつぶやいた。 そのつぶやきを聞き逃さなかった葛葉は侮られ手いるのがしゃくに触って、 「希代の陰陽師安倍晴明の娘葛葉姫に不可能はない!!」 と断言して。 獣の妖しのうわさを聞けば抗して駆け付けて、夜な夜な都中獣の妖し退治をしている。 「それにしても、葛葉って、恐い者知らずだよな。」 「なんで?」 「その手に持ってる府…にべたべただぜ……?」 「もう慣れたわよ。」 けろりという。 頼光は月明かりのせいで青ざめているわけではないようだった。 「おれは慣れないな……葛葉って恐いものってないのか?」 「この葛葉姫に恐いモノがあると思うの?あるわけないじゃない」 わざと胸を這って自慢してるように言う。 そのとき、角のへいから、くう~んと子犬の泣き声が聞こえてきた。 葛葉はまた妖しか!?と思い身構える。 だけど、妖しの気配はない、ふつうの子犬らしかった。 「お!犬だ!おいで、おいで!」 「ち、ちょっと、やめなさいよ!頼光!」 チッチと口をならす頼光にかけよってきた。 葛葉は後ずさる。 「お~お主あたまがいいな。しかも、人間に慣れてる感じだ」 しっぽを思いっきり振って、頼光の顔を舐める。 「ちょっと、頼光病気うつったらどうするのよ、というか、懐かれたらどうすんの!」 「そうだな~俺の父ちゃん犬嫌いだからな~葛葉かってくれないか?」 頼光は犬を抱きかかえ、葛葉に向き直る。 葛葉は、また後ずさる… 「ぜ…絶対嫌!!っていうかこっちに近付かないでよ!!」 「え~かわいいじゃん。撫でてやれよ」 頼光は子犬を葛葉顔に近付けると子犬はぺろりと葛葉の鼻をなめた。 「いや~~~~~~!!!!」 バシンっと頼光の頬を思いっきりたたいた。 「イッテ~~~!ぶつことないだろう!」 「あんたが悪い!!」 葛葉は涙ぐみながら、鼻を思いっきりそでで擦る。 葛葉のそんな様子をみて、頼光は気がついたそしてそのことをにやにやしながら口にする。 「もしかして葛葉って……犬が恐いなのか?」 葛葉はぎくっとした。 「恐いものなかったんじゃなかったけぇ~?」 「う…それは…そうだけど……」 葛葉は口籠る。 なぜか葛葉は犬が本能的に苦手だった…… ジャンル別一覧
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